本年度は、以下の研究活動を行った。 1.「初中級学習者向けデジタル漢字教材」に連動する教材の整備 本研究で開発し、本所属期間のWebページで公開を始めた「初中級学習者向けデジタル漢字教材(Step Up Kanji-500)」を、センターの通常コースの主教材として使用しながら、これまで作成した関連補助教材(練習問題、チェックテスト、授業時に使用するタスク等)の整備を行った。これにより、漢字の学習段階や学習スタイルの異なるクラスでの対応が可能になった。 2.漢字圏学習者に対する漢字指導の領域の研究 漢字の意味がわかるゆえに通常は読み方(いわゆる日本語の語彙)指導に終始しがちな、漢字圏学習者に対する漢字指導のあり方を検討した。具体的には、(1)1で開発した教材の音声パートを利用した学習方法の提供、(2)「音声(とひらがな)から意味を類推した上で漢字を確認するプロセス」を強化する教材や教室活動の開発等を通して、日本語のレベルはほぼ同じだが漢字のレディネスの異なる、非漢字圏と漢字圏の混在クラスの運営方法に対する知見を得た。
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