本研究は、在日外国人のための日本語学習支援ツール『日本語ポートフォリオ』(JLP)を関発し、ユーザーである学習者と学習支援をするボランティアへのサポート・システムを構築するという長期的なプロジェクトの一部である。本研究の目的は、在日外国人の日本語習得を支援するボランティアが、学習ツール『日本語ポートフォリオ』を使いこなせるようになるまでにはどのような学びの過程を経るのか、その過程で必要なサポートはどのようなものかを明らかにすることである。本年度は以下の作業を行った。 1. データ整理 (1)2009年度収集録音データの文字化、(2)文字化データのチェック 2. データ分析 前年度にデータを収集した3名のボランティアのデータについて、1名ごとにどのようなできごとがどのような学びにつながったのかを時間の流れの中で記述した。うち1名の分析結果について、特にボランティアにアドバイジングを行ったアドバイザーの役割に焦点をあて、ケーススタディとして、香港教育学院で行われた、The 2^<nd> East Asian International Conference on Teacher Educationで発表した。 分析の結果わかったことは以下の3点にまとめられる。1)ボランティアが『日本語ポートフォリオ』を使って成果を挙げるために、自己主導型学習の意義と『日本語ポートフォリオ』の役割を理解していれば、日本語に関する専門知識は必ずしも必要ない。2)ボランティアが『日本語ポートフォリオ』を使うのを助ける学習者側の要因がある。3)ボランティアは学習のリソースや方法に関する選択肢だけではなく、1回のセッションの構造、複数回にわたる計画の立て方、時間管理などの学習活動のマネジメントに関することもサポートを必要とする。 3. 報告書の作成 3年間の調査に関して報告書を作成した。
|