研究概要 |
本研究はJSLの子どもの教科教育に着目したものであり、本年度の研究成果として日本語教育学会『日本語教育』142号へ以下の内容で発表した(印刷中)。 (概要)当論文は、JSLの子どもが編入後,約半年で在籍学級の国語の授業に積極的に参加し,認知の発達段階に相応しい学年相当の学習活動が行えるようになることを目指して行った実践例を報告したものである。当論文では,在籍学級での学習活動を可能にするためには編入直後,ひらがなが読めるようになった段階から「日本語による学ぶ力」を育成していくことが必須の課題であると考え,新たな視点から取り出し授業の実践を試みた。具体的には,JSLの子どもの母語と日本語の「学ぶ力」のギャップを埋める手立てとして,当該学年の認知力を配慮し子どもの日本語力に合わせて教科書教材を書き直したリライト教材を用い,四技能がバランスよく身につくように在籍学級の授業と進度を合わせて国語の学習を進めた。このような方法をとることにより,早い段階から「日本語による学ぶ力」が育成でき,それを踏まえて在籍学級の授業への積極的参加も可能になることが確認された。本論文の意義は、取り出し授業を工夫することで、従来、なかなか在籍学級の授業についていけないことが指摘されるJSLの子どもが約半年で在籍学級のクラスに積極的に参加できる可能性を示し得たことであり、また従来とは異なる「取り出し授業のあり方」を提案できたことである。
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