研究概要 |
本研究は「異文化を背景とする児童生徒(以下、JSL児童生徒)を内包した母学級の授業のあり方」に関する研究である。これまでJSL児童生徒の教科学習支援に関する研究・実践は主に「取り出し授業」という形態を中心に行われてきたが、近年、『JSLカリキュラム』(文科省)にみられるように、「取り出し」に留まらずJSL児童が在籍する「母学級での授業のあり方」をも視野に入れた研究・実践の童要性が指摘されている。こうした動向を踏まえ、本研究では小学校の「国語科」を取り上げ、母学級において「どのような工夫があれば日本語力の不十分なJSL児童が日本人児童(以下、JNL児童)と同じ土俵に立って学習できるか」という課題のもと、研究協力校との連携により「リライト教材」(光元他,2003)を介在させた授業実践を試み、来日間もないJSL児童生徒ができるだけ短期間で母学級の授業に参加できるような新しいパラダイムによる国語課授業の方途を探ることを目的としたものである。 《本年度の実施計画及び成果〉最終年度である22年度は,(1)来日間もないJSL児童が母学級に入るまでの取り出し授業はどうあるべきかに焦点をあて、実践記録を丹念に記述し、研究論文としてまとめること、(2)(1)の研究成果を含む3年間の成果を「研究成果報告書」として冊子体にまとめことの2点を実施計画とした。計画に沿って実施し、年度末には研究成果報告書「異文化を背景に持つ子どもを内包したクラスの授業-リライト教材による国語科の試み-」(173頁からなる)を作成した。作成した研究成果報告書は大学など内外の研究機関および教育委員会、JSL児童を抱えるいくつかの小学校等に配布した。
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