平成20年度の本研究の成果は以下の通りである。 1.聴解に関わる要因の網羅的な確認 様々な先行研究にあたり、聴解に関わる要因を調査し、言語的要因、学習者要因において要因を確認した。 2.評価項目の選定 認知的な要因を中心に検討することが従来の日本語教育における聴解研究に対する本研究の特徴であり、1.で確認した項目の中から該当する要因を取り上げた。音韻ループの機能、ワーキングメモリ容量、聴覚的な材料の提示速度、メタ認知能力等が現時点の候補である。また、認知的な要因に焦点を当てるが、従来の研究との関わりから言語的要因も含める必要性があると考えられるため、中でも読解力、聴解力との強い関わりが指摘されている語彙力も加える事とする。 3.評価項目の数値的な評価基準を得るための調査・実験 先行研究で音韻ループの機能の高低は後の語彙習得力との関連が指摘されている。聴解力と共時的な音韻ループ機能の高低との関係にまず着目し、中級程度の日本語学習者25名を対象に、実験を実施した。現在結果の分析を行っているところである。
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