平成22年度の本研究の成果は以下の通りである。 1. 評価項目の数値的な評価基準を得るための調査・実験 ・21年度の中国語を母語とする学習者に対し、22年度は、世界中に分布している、英語を母語とする学習者のデータを収集した。オーストラリアのシドニー大学において、初~中級学習者を対象とした調査を実施した。レベル3(初中級)44名、レベル5(中級)16名の合計60名であった。ただし、オーストラリアは移民が多いという国の特性から、分析の対象は39名に絞られた。 ・実験の項目は聴解力、語彙力、作動記憶容量、音韻的作動記憶の能力であった。初級後半レベルと中級レベルがあり、作動記憶容量、語彙力において2群の間に有意差がみられた。項目間の相関に関しては、聴解力と語彙力、聴解力と作動記憶容量、語彙力と作動記憶容量の間に比較的強い相関がみられたが、音韻的作動記憶の能力に関しては他の項目との相関はみられていない。 2. 調査・実験結果の公開 ・中国の上海海事大学で昨年度実施した調査結果を、世界日語教育大会(8月)、日本教育心理学会(8月)の2つの学会で発表した。 ・3月26日に予定されていた日本教育方法研究会での発表は、地震の影響により中止となったが、発表内容が同学会の研究会誌に掲載されている。
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