在日外国人の言語生活、多言語状況における日本語のコミュニケーション問題の調査を行った。また、日本人の外国人日本語話者に対する規範意識の一端が明らかになった。 日本に定住する日系ブラジル人日本語話者15名の談話、1名につき約10分間をBTSJ(宇佐美2003)によって文字化し、談話分析をした。また、日本人と、在日外国人に日系ブラジル人の談話の印象を筆記式アンケートによって聞いた。そして、談話分析の結果と、印象との相関を分析した。収録には、ビデオテープと、ICレコーダー、MDを使用した。 分析項目は、(1)終助詞、(2)あいづち((1)1発話とカウントするあいづち(2)さえぎらないあいづち)、(3)敬語((1)発話文全体(S/P/N/NM)S: super-polite form P: polite-form N: non-polite form NM: non-marker(2)発話文末(S/P/N/NM))、(4)全体の機能(F/C)について、F: formalな感じがする発話、C:カジュアルな感じがする発話、に分類した。評定者間信頼性係数(Cohen's Kappa)は、平均値0.8であった。その他、スピーチレベルシフトのコーディングも行なった 話し方の好感度と談話分析の項目の敬語数、フォーマルに正の相関が見られた。好感度が上位のインフォーマントは、終助詞を、10分間に約40回から約60回程度使用していた。あいづちは、終助詞と違って、負の関係を示した。10分間にあいづちは、30回から40回を超えない程度がよく、それよりもあいづち回数が多いと好感度を下げる傾向が見られた。今後も補充調査を行い、データを充実させることで、研究成果の日本語教育への応用を試みる。
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