日本の大学や高等教育機関では、外国人留学生を対象とした、論文執筆のための日本語力養成が急務となっている。本研究では、コーパスを基に、論文執筆に必要な日本語のコロケーション(ある語がどのような語と共起して用いられるのか)を明らかにし、中国語のコーパスと日本語のコーパスを対照することにより、両言語で用いられる漢語の用法を分析する。本年度の研究実績は以下の通りである。 1.言語学、日本語教育、日本語学の文献研究 影由太郎(1996)『動詞意味論』、小野尚之(2005)『生成語彙意味論』等、語彙の体系的な関係性を明らかにするための先行研究を分析した。 2.日本語コーパスの量的・質的拡充 これまでに構築した論文抄録コーパスでは量が不十分であったため、新たな言語資料として、独立行政法人国立国語研究所「現代日本語書き言葉均衡コーパスモニター公開データ」を加え、基本的な和語動詞、漢語動詞の共起表現の抽出を行っている。 3.中国語コーパスの収集並びに文献研究 日中対照研究、日中同形語に関する文献研究を行う。 現代中国語コーパスを用いて、試験的に漢字語彙の抽出を行った。
|