本研究の目的は、携帯音楽プレーヤーを外国語教育用LMSであるWebOCMの移動型端末として位置づけ、より効果的な外国語eラーニング教育をおこなうための拡張システムを研究することである。 今年度は、モデル・コースウェア(ドイツ語教材)を使用する学習者の実態を調査しながら、(1)LMS→学生PC→携帯音楽プレーヤーへの教材配信の問題点、(2)ID3v2メタデータやRSS2.0データの問題点、(3)学習効果について検証した。(1)については、学習者は、自分の携帯音楽プレーヤーに合った配信方法を使いこなしていた。スマートフォン型プレーヤー(iPod touchを含む)を所有する学習者は、LMSから直接スマートフォン型プレーヤーへ教材をダウンロードしていた。教材配信については問題ないこと、そして新たにスマートフォン型の教材配信も可能であることが明確になった。(2)については、Windows Media PlayerがVersion12からID3v2<song>タグをサポートしなくなったこともあり、同じ教材データをID3v2メタデータおよびRSS2.0データとして登録しておく冗長化の重要性がより明確になった。また、PCでの学習用に作成したPDF版教材データが、PCばかりではなく、スマートフォン型のプレーヤーでも利用できることも明確になった。(3)については、確認テスト(どの文が出題されるか分かっている聞き取り穴埋め問題)では、ほぼ全員が満点を取っていた。携帯音楽プレーヤーをLMSの移動型端末と位置付ける拡張システムが十分な学習効果を有することが明らかになった。この検証をうけて、拡張システム・教材(コンテンツ)・教授法(メソッド)を最終調整し、LMSと携帯音楽プレーヤーを連携させたインストラクショナル・デザインを策定した。
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