22年度は、日本語的特徴を持つ英語音声及び語彙が世界の英語話者にどの程度理解可能か、また逆にどのような日本人英語の音声や語彙が理解の妨げとなるのか調査することを目標に掲げた。特に、日本語の中に市民権を得ているいわゆる「カタカナ英語」をテーマに取り上げ、日本人学習者が英語を話す際に使いがちな(1)カタカナ英語的発音の英単語、及び(2)日本語の中で独自に生成された和製英語の語彙に焦点を当てることにした。これらを含む英文をベテラン日本人英語教師が中級レベルの英語話者に扮して読み上げ、収録したテープをフィリピン人大学生グループ(英語を第二言語として使用する人々)と英語母語話者グループ(アメリカ人、イギリス人、カナダ人)を聞いてもらい、(1)についてはディクテーション・タスクにより音声の理解度(intelligibility)を、(2)については意味記述により内容の理解度(comprehensibility)を調べた。日本人英語に対する慣れの程度は、フィリピングループと英語母語話者グループとでは異なってはいたが(後者の方が日常的に日本人英語に慣れ親しんでいた)、聞き取りにくい単語、理解しにくい語彙は両被験者グループに共通であるという傾向が見られた。今後、これ以外の言語的背景を有する被験者グループに対しても同様の調査を行い、日本人が国際語として英語を話す際に注意しなければならない音声や語彙についてさらに研究を進める予定である。
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