リハーサルとタスク運用間の共通部分に焦点をあてながら、学習者に自身が産出した英語をモニタリングさせることが正確さの転移に及ぼす影響について、以下の仮説をもとに実験を行った。 1. リハーサルで気づいた形式のほとんどは、タスク運用で再度使用される。 2. タスク運用で再度使用される気づいた形式の量は、いかなる要因にも影響を受けない。 英会話を履修する大学1年生を流暢さの点で2つのグループに分け、あるトピックについて一人で発話するというモノローグ・タスクを与えた。そして、タスク前のプラニングとして行うリハーサルとリハーサル後に行うタスク運用の2つを組み合わせた活動を14回に渡るレッスン内(1週間に1回のレッスン)で与えた。その際、「トピックの繰り返し」「リハーサル時間の長さ」「リハーサルとタスク運用のモードの組み合わせ」を考慮して14回のレッスンをデザインした。そうすることで、「学習者の熟達度」を含めた4つの要因が正確さの転移に及ぼす影響についても調べた。 分析の結果、次の4点がわかった。 (1) リハーサルとモニタリングによって気づいて正しく修正された形式の多くは、その後のタスク運用でも正しい形式のまま再使用される。 (2) タスク運用時に再使用する語の多さに関して、リハーサルモード(ライティング>スピーキング)の影響がある。 (3) リハーサルとモニタリングを与えても、学習者自身の気づきには限界があり、気づくことができない形式が多い。 (4) 気づきなしの多さに関して、「リハーサル時間の長さ(10分>5分)」「トピックの繰り返し(2回目>1回目)」「学習者の熟達度(高>低)」の影響がある。
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