本研究では、英語学習者が英語を用いてオーラルコミュニケーションを行う際、どのような問題に遭遇してコミュニケーションが挫折するのか、またどのような方略を用いて問題の修復を図ろうとしているのかをテーマに特にモニタリングとリフレクションに焦点を当て、日本人学習者の特徴を調査し、中国人、タイ人、英語母語話者など他の外国人英語学習者と比較することでより明らかにしようとしている。 平成21年度は、大学生のオーラル英語の授業で、語彙能力と方略能力の関係を探るべく、語彙サイズテストとCS調査を行い、データをSPSSを用いて分析した。その結果、語彙能力と方略使用について有意差があることが分かった。研究の詳細については、日本英語コミュニケーション学会で発表を行った。更に大学生を対象にコミュニケーションタスクによるCS指導を行い、その結果を論文にまとめて発表した。 国際比較としては、昨年タイを訪問して実施したアンケート調査により、タイの小中高の英語学習者と日本の英語学習者のコミュニケーションに対する意識を比較した結果を、全国英語教育学会で発表を行うとともに、論文にまとめた。タイと日本は同じEFL環境にあるものの、コミュニケーションに対する態度や意識に有意な差が見られた。平成22年度は中国の英語学習者を対象に同様のアンケート調査を実施する予定である。更に、小学校英語で育成すべきコミュニケーション能力の素地と方略的能力について考察し、児童英語教育学会で発表を行った。 以上、小学校から大学を視野に入れて、コミュニケーション方略に焦点を当てた様々な調査分析や実践研究を行い、その特徴をまとめることで、日本人英語学習者のコミュニケーション能力育成に寄与できるものと考える。
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