本研究は、LSPの理念を基盤とした教員養成と研修システムの枠組の構築を最終目的として設定した、平成17〜19年度実施した文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)「外国語(英語)教員研修実態調査に基づくLSP教員養成・研修システム開発」(課題番号17520395)の継続研究として、実践的外国語(英語)教員研修カリキュラムの構築を目的として実施している。本年度はその初年度にあたり、主として、資料収集とネットワークの構築に焦点を当てた。外国語教員研修カリキュラム構築にあたり、英国とフィンランドの実践を中心としてヨーロッパの取り組みが最も参考となることが本年度の調査から分かった。当初の計画では、オーストラリアと香港も視野に入れていたが、時間と労力の関係からヨーロッパの外国語教育と教員研修の調査から日本の実践的外国語(英語)教員研修カリキュラムの構築を考えることが効果的であり、かつ、ヨーロッパにおけるCEFR (Common European Framework of Reference for Languages)(ヨーロッパ言語参照共通枠組)の理念と実践に焦点を当てた言語教師認知の研究に大きな可能性があると判断したからである。特に、ELP(ヨーロッパ言語ポートフォリオ)とCLIL(内容と言語を統合した言語教育)、さらに、教師の自律や反省的実践家としての外国語(英語)教師の育成プログラムが、本研究の明確な目標として設定できたことは意義深い。研究の初年度としては十分な成果があり、実践的外国語(英語)教員研修カリキュラムの構築の骨子の試案を次年度に示すことができる可能性が出てきた。
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