本研究は、LSPの理念を基盤とした教員養成と研修システムの枠組の構築を最終目的として設定した、平成17~19年度実施した文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)「外国語(英語)教員研修実態調査に基づくLSP教員養成・研修システム開発」(課題番号17520395)の継続研究として、実践的外国語(英語)教員研修カリキュラムの構築を目的として実施している。 本年度はその3年目にあたる。2年間の海外と国内での専門家と教師に対する質的な基礎調査を受けて、「外国語(英語)教員研修実態調査に基づくLSP教員養成・研修システム開発」で提示した教員研修スタンダードの検証をほぼ終えた。本年度は、その結果を受けて、最終的な詰めをするために、英国とフィンランドの研究協力者と打ち合わせし、CLILに焦点を当てることのメリットを確認した。また、教員研修の面で成果を上げているフィンランドの教員養成と教員研修が、本研究が目指す実践的外国語(英語)教員研修カリキュラムの理念に参考となる面が多いことが分かった。 さらに、ヨーロッパにおけるCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)(ヨーロッパ言語参照共通枠組)の理念と実践に焦点を当ててこれまで調査し、最新の分野である言語教師認知の研究を取り入れ、質的に教師の思考を探求することの重要性を理解した。その点から、CLIL(内容と言語を統合した言語教育)と教師の自律や反省的実践家としての外国語(英語)教師の育成プログラムを取り入れる必要性に注目し、実践的外国語(英語)教員研修カリキュラムの柱とすることにより、最終年度のまとめに入る予定である。
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