研究概要 |
これまでの調査により「聞き取りやすさ/通じやすさ」の視点からIntelligibility, Comprehensibility, Interpretabilityの側面から、各6項目、計18項目を作成し、日本人の英語話者のスピーチに関して検証し、最も聞きやすさに影響を与えているのは母音の長さのコントロールだということがわかった。今年度は、その結果をもとに、教授法を構築すべく、とにかく教育の場での実践を行った。ただ、発音教授に関しては、学習者の間違いを修正していく、というより、proactiveな試みがより重要であると思われる。つまり、学習者が間違いをするのを待ってそれを修正していく、というのではなく、当初より苦手であろうと思われる音を取り上げ、間違いを未然に防ぐ、ということが大事なのである。今後は、現場にこの発音教授法をより広めていくべく、今年度は学会発表、またシンポジウム等も開催し、多くの研究者にこの考えを問うことができた。その一方で、教授法の基礎理論と授業実践に関わる文献として、第2言語・外国語教育論及びWE論やELF論における最近の文献の精査を行なった。特に、ELF論のLingua Franca Coreの概念が本研究に与える示唆についての考察を深めることができた。学習者は、得てして、non-core featuresの部分を、いわゆる「ネイティブ英語」として崇拝してしまいがちだが、学習者のAwarenessをあげることによって、そのこだわりから抜け出し、intelligibilityにfocusした発音の習得こそが真に必要なことなのだと得心できたとき、よりこの教授法の有用性が増す、ということが明らかになった。
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