本年度は主に2つの作業を行った。第一に英語教員に必要とされる能力、技能、資質を特定したリストを第三者の目で批判的に検討してもらうことである。このリストは300以上の項目からなるために実際の教員養成に使うためには使用可能なカテゴリーにまとめる必要がある。これを目的として金沢大学大学院で英語教育を専攻している学生に依頼して、それぞれの項目に重要度のランクを付けてもらった。第二に、教員免許状取得のための選択必修科目「英語教授法」の授業で何が指導され、学生がそこから何を学んでいるのかを明らかにすることを目的とした。2008年度春学期間4月から7月までに上智大学で開講された15回分の授業をすべてDVDに録画した。さらにそれぞれの授業の最後に10分ほど時間を使い受講生が何を学んだかをテストした。この調査を始める前に作成した上述の英語教員に求められる知識と技能を特定したリストにしたものをさらにデータとして加えた。現在これらのデータを分析しているところである。すなわち授業で教えた事柄、学生が学んだ事柄、英語教員が持つべき資質と知識、これら3セットのデータがどのように重なり合うのか、あるいはどこに間隙があるのかを確認しているのである。これまでの成果については英語教育関係の招待講演、学会などを含め機会があるごとに国内外で随時発表してきた。その際に受けた質問やコメントを参考に次年度の研究計画を修正するために3月に会合を開いたところである。
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