研究概要 |
第二言語による読みの研究において、学習者の読みの流暢さ(reading fluency)の発達を促すことは重要な研究課題となりつつあるが、現在までに具体的な方法を取り上げ、その効果を検証した研究は大変少ない(Grabe, 2010)。その中でTaguchiとその研究グループ(Taguchi, 1997; Taguchi & Gorsuch, 2002; Taguchi, Takayasu-Maass, & Gorsuch, 2004; Gorsuch & Taguchi, 2008)は1997年以来、Samuels (1979)が提唱したRepeated Readingという方法の効果検証を行い、読みの流暢さの発達と理解度の向上が連動して進むことを示唆して来ているが、まだ、断定的にその関係を示すことができていない。彼らの最新のdiary studyの手法を用いた上級レベルの英語学習者を対象とした研究では両者の相互作用が具体的に示されており、理解度の高い学習者にとってはSamuelsが提唱する自動化理論が当てはまる可能性が高いことがわかる。今後はこのdiary studyを多様な学習者層に一般化できるかどうかを検証するために、量的アプローチを中心とした被験者数の多い研究に発展させる必要があり、また同時に、カセットテープやCDを使う従来型の教材配給の方法では均一の質の教材を、利用しやすい形で被験者に配給できないために、ウェブ型の反復読みの教材を開発する必要がある。
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