研究概要 |
本研究の目的は、第二言語による読みにおいて単語認知などの下位スキルがメタ認知スキル等を含む、読みの理解に関わる上位スキルとどのように関係しているのかをRepeated Reading(RR)の効果を検証することによって明らかにすることである。第15回国際応用言語学会世界大会において第二言語運用能力の高い読み手にRepeated Reading(RR)がどのような影響を与えるかについて発表し、それを論文にまとめた原稿を、2010年8月29日に外国語によるリーディングの学術専門誌であるReading in a Foreign Language誌に投稿した(Taguchi, E., Gorsuch, G.J., Takayasu-Maass, M., & Snipp, K.(2010). Assisted repeated reading with an advanced-level Japanese EFL reader: A longitudinal diary study. Manuscript submitted for publication.)。その審査結果が2011年1月27日に編集者より示され、修正の後、再投稿を求められ、目下、修正原稿を準備中である。本論文はダイアリー・スタディーという質的アプローチを中心にしながらも、量的アプローチも融合させて、読みの下位スキルと上位スキルの相互作用を多角的に調査しようとする試みである。本研究の結果、高い理解度が保証される高度なリーディング・スキルを持った読み手については自動化理論(LaBerge & Samuels, 1974; Samuels, 1994)が当てはまる可能性を示唆する結果となった。従来のアナログ形式の教材を用いたRRでは教材の質や手順の均一化が難しく、次の研究ステップとして、本研究の結果をもとに、教材の質を保証し、手順を均一化できるweb上で行うRRの教材開発を進める予定である。
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