不定代名詞「誰」「何」+助詞「も」の二通りの組み合わせ(合体した場合と分離した場合)を含む文に関して、統語(文法)に関係する形式特性に基づいた計算システムと調音・知覚システムならびに概念・意図システム両方に接触するインターフェイスに関する原理原則に従って、否定極性表現と数量詞表現を含む文がどのように生成され、コンテクストが容認度にどのように影響を与えるかについて、昨年度までに行った日本語の母語話者に行った調査を、日本語を外国語として学習している留学生(高千穂大学・法政大学)に追加実験を実施し、統計分析を行った。 一方で、運用論上の要因が、文の解釈に影響を与える(容認度を上げる)という昨年までの調査・実験結果をさらに証明するために、子供の日本語の母語話者に対して、数量詞化された数詞について、追加実験を実施した。具体的には、欧州から生成文法及び言語習得理論の専門家であるKleanthes Grohmann氏(キプロス共和国・キプロス大学)を招聘し、専門的知識・アドバイスを頂いた。そして、神谷正明氏(米国・ハミルトン大学・海外共同研究者)と共に、今まで実施した運用上数量詞化された数詞として解釈できる文と語彙上数量詞化された数詞として解釈される文に焦点を当てた真偽判定作業を再検討・修正した。そして、新たに作成した実験(10種類+4種類)を、言語獲得過程にある高千穂幼稚園の年少組の園児(3歳~4歳)に実施し、昨年の年長組の園児への実験の結果と比較対照して分析した。また、日本語母語話者への第1言語習得に関する実験の成果を海外の学会(6th International Conference on Language Acquisition等)で発表した。
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