研究課題
今年度は、研究実施計画で対象とした英語発話矯正のための英語音声変化のうち、無開放破裂音の分析を行った。このうち、初期の予備分析において、英単語の語尾と次の単語の語頭の音素の組み合わせとして、無声-無声、無声-有声、有声-無声、有声-有声のうち、有声-有声ペアの場合、無開放破裂の際の無音区間が検出されにくいことが判明した。結果として有声-有声ペア以外の3つのペアについて主要な分析を行った。分析方法としては、7つの英文中に11箇所の破裂音の無開放部分が含まれた例文を日本人被験者(東洋大学の学生)4人に発音してもらった録音データと、ネイティブが読んだ教師音声とを比較分析した。分析の対象パラメーターは、パワースペクトル、ピッチ、フォルマント周波数特性、振幅とした。このうち、振幅の特徴量としては、振幅の平均、振幅の分散、レンジを分析の対象として利用した。分析の結果、振幅の分散において教師音声と被験者の間で、db値にして一桁~2桁の明らかな差が検出され、英語無開放破裂音の検定材料として有用性が高いことがわかった。今後の課題としては、今回の分析では被験者と教師音声のターゲット部分の音声区間の特定を手動で行ったが、今後は既存の音声認識技術の援用により、分析区間の特定と位置合わせのためのDPマッチング手法を取り入れ、同時にターゲット部以外の音声実現が教師音声と学習者発音とで際立った差が出ないようなサンプル文を選定する必要がある。なお、今年度の研究を進める過程で、当初予定していた「英語リズム」の認識および判定のためのプログラム開発は、音変化の研究と同時に行うことが技術的に難しいことが明らかになったため、当初の計画を一部変更することが望ましいという結論に至った。
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