本研究の最終年度である平成22年度は、昨年度に引き続いて電子辞書使用方略を教授する取り組みを行い、そめ成果を国内外での学会発表や論文誌で公表することができた。 昨年度までは、教授する辞書使用方略を一つに絞ってその有効性を明示し、かつ、授業外のタスクと復習テストの連携を行ったが、予想したほどには教授した方略は定着しなかった。しかしながら、英文読解を主目的とする辞書の使用方略指導はぐ結果的に読解力の向上に寄与したと考えられた。 そこで今回は、これらの知見をもとに、1)辞書を引く前に未知語の意味を文脈から推測する、2)語彙情報を確認後、自分が持つ背景知識と関連づける、3)辞書から文脈にそった意味を調べ、必ず用例を確認する、4)特に未知語は、必ず発音記号を確認(または、電子辞書の音声機能を使用)し、実際に声に出して発音してみる、の4つの辞書使用方略を、より「明示的に」教授した。すなわち、こうした方略を使用して辞書を引くことの有効性を実証データとともに提示し、また、学習者らのメタ認知が活性化されるよう、検索した語彙を整理できるワークシートが配布された。結果として、前回までと同様に、こうした取り組みが英文読解力向上につながることが示唆されたと同時に、辞書使用方略の定着の可能性が見いだされた。 以上の成果を、外国語教育メディア学会(LET)全国大会(8月に横浜市横浜サイエンスフロンティア高等学校で開催)と大学英語教育学会(JACET)の英語語彙研究会と英語の辞書研究会の合同ワークショップ(12月に早稲田大学で開催)、GLoCALL2010(12月にマレーシアのコタキナバルで開催)で公表した。 また、実践内容と成果をまとめたものを論文誌『LET関西支部研究集録13号』に投稿し採択された。
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