本科研プロジェクトは、早期英語教育教材に使用される語彙および文法項目について英語学・言語学・英語教育学の観点から記述的調査や理論的研究を行い、その結果に基づき早期英語教育に対する示唆を提供することを目的とする3年間の研究プロジェクトである。 2年目にあたる2009年度は、主に、文部科学省発行の『英語ノート』(正式版)に出現する語彙の品詞割合を調査し、(i) 名詞の割合が高いのに対して、動詞の割合が低いこと、(ii) 児童が発話する文の主語に1人称が多用されること、(iii) swimのような主語の意図的行為を表す「活動動詞」が多く使用されていること、(iv) 『英語ノート』に使用される動詞に命令文が可能なものが多く出現し、その動作を実際に児童が体現できるように作成されていることを明らかにした。本研究の詳細については第9回小学校英語教育学会(JES)東京大会(於東京学芸大学)で発表し、その内容を発展させたものをScientific Approaches to Language第9巻(神田外語大学)に掲載した。 また、今年度からJACET小学校語彙プロジェクトにも参加し、本科研のこれまでの調査結果を報告するとともに、早期英語教育における語彙選定の手法の知見を生かし、テスト開発ならびに教材分析に貢献している。
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