本研究は、香川県観音寺市に所在する巨鼇山地蔵院萩原寺所蔵の真言密教に関わる聖教類について悉皆調査を行い、その成果にもとづき中世の地方時院における宗教活動の様相を明らかにするとともに、同寺聖教を歴史・宗教・文化資料として有効に活用する基盤を形成することを目的とするものである。以下、二つの課題に即しながら、研究の概要を記すことにする。 (1)萩原寺への出張調査・撮影(全員で担当) 本年度は年2回の調査を実施し、調書の採取をす進めるとともに、第2回目の調査において平安・鎌倉時代の聖教からデジタル撮影を開始し、平安時代聖教及び秘鈔函収納の鎌倉時代書写の聖教類の撮影を終了した。 (2)調書データの入力・校正(全員で担当) 本年度中に既存調書6割方の入力を行うとともに、平安・鎌倉・南北朝時代の聖教について再整理作業を行った。 (3)目録原稿作成の試行(主として厚谷が担当) 聖教の撮影と調書データ入力の進捗を前挺として、平安時代及び鎌倉時代書写聖教(秘鈔)について目録原稿の作成を試行した。 (4)中世萩原寺の宗教活動に関する研究(主として末柄が担当) 入力済みデータの中から僧名・寺院名等を抽出し、今後の研究の基礎となるメタデータ・データベースの作成に着手した。
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