古代日本列島の諸地域における漢字文化受容とその展開について、出土文字資料などにより地域的特性を探ること、中国から朝鮮半島を経由して受容された漢字文化がそれぞれの地域でどのような変容をとげているのか、を明らかにすることを研究の目的としている。 平成21年度は、(1)各地の漢字文化関係の出土文字資料などの資料収集を進めるとともに、(2)古代中国・朝鮮における漢字文化展開の把握、そして(3)研究成果のとりまとめに向けて整理を進めることに重点を置いた。(1)では、滋賀県・奈良県・兵庫県その他で出土文字資料の実物調査を行い、(2)では、韓国東北アジア歴史財団主催の国際学術研究会に参加して報告を行ったほか、中国において木簡出土遺跡の調査を行い、研究交流を行った。(3)では、学会などでの発表・講演において、これまでの研究を整理する内容の報告を行い、研究の進展を図った。研究成果の一部は、学会などでの発表・講演のほかに、『法政史学』や『歴史地理教育』誌などに論文として公表した。地方によける漢字文化受容の具体相が明らかになりつつあることは、列島古代の多元的な文化展開を展望する上で有意義と考える。なお、今年度収集した金石文についてのデータをふくめ、次年度において報告書にまとめたい。
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