本研究は、近世から近代にかけて未整理のまま奥州海村地域に残されている歴史史料の保存・整理・データベース化とその分析とを進めることを目的としたものである。1膨大な史料群を整理・撮影するためのスキルを洗練しつつ、そのデータベース化による奥州海村研究の基盤整備と、2共同研究を通して多面的な視角から、近世・近代における奥州海村の環境と文化に関する歴史学的研究を行っている。 1、本年度は、岩手県大船渡市綾里砂子浜の千田基久兵衛家文書の整理・写真撮影を8月16〜20日まで、地元郷土史家などの協力も得つつ20名ほどの参加を得て行った。ただし、資金不足から目録作成については、研究協力者にデータを配布し、各自作業を進めてもらうこととした。 2、それと並行して、本科研で協力研究を進めているメンバーとともに、共同研究の出版に向けての準備を進めた。これまた経費不足から、メール上で原稿を提出・意見交換を行いつつ、高橋美貴・斎藤善之・泉正人・籠橋俊充・井上拓巳・鎌谷かおる・佐藤大介・平川新による八本の論文を完成させたうえで、高橋・斎藤が編者として、「はじめに」と「おわりに」を分担執筆、2009年3月6日には仙台で会合を開き、論集の体裁をほぼ完成させた。幸い清文堂出版(株)と交渉のうえ、論文集を出版していただくことを快諾いただいている。現在、最終調整段階に入っており、来年度に向けて出版を実現させていく予定である。
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