1目的の第1に掲げた渟足柵の探求では、推定地王瀬周辺でオールコアのボーリング調査を行った。これまで把握した埋没古土壌の分布範囲を追求する中から、その土壌コアに時代が特定できる土器片などの採取を得たいと行ったが、土壌の分布を確認した成果にとどまった。次年度以降も引き続き追求する。 2第2に掲げた調査方法の研鑽では、7世紀遺跡と古代役所に特有な古代木簡の在り方を、徳島県埋蔵文化財センターの観音寺遺跡調査成果や松出市埋蔵文化財センターの久米窪田遺跡調査成果の調査を行い、また東北城柵官衙検討会(盛岡)に参加し最新の報告とデータ収集により、次年度以降の調査方法を点検した。この関連では2編の論考を発表できた。 また飛鳥の酒船石遺跡の亀の石槽に類似する伝承、長者の伏せたカメ池が渟足柵推定地のひとつである河渡・松崎にある。その発見のために電気やレーダー探査を今年度も約500平方メートル実施したが、結果は空振りで今後も残された範囲で続行したい。 3第3に掲げた城柵論自体の追求では、「越後城司威奈大村」の墓誌銘の検討を進めたほか、古代軍事制研究者の調査資料の寄贈を受けて、これを収集できた。整理はこれからである。 4目的の第4に掲げた隠岐や対馬の調査は、今年度は実施できず、今後に残している。 以上の掲げた目的に関する研究計画と方法により、基本的に進めることができた。大きな成果に至るための基礎的な成果を重ねていると判断しているところである。
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