本研究の成果は、第一に、濃尾地震について、被害地域の行政機関の取り組み、救済・復興過程における社会的公正さが議論されていたことを、地域史料・新聞を史料として使い明らかにした。第二に、災害罹災者救済、死者の慰霊に関する研究では、木曽三川流域や濃尾震災被災地をフィールド調査することを継続的に実施し、慰霊碑・記念碑を確認することができた。第三には、仏教教団の影響力が根強い地域で、キリスト教団体の救済活動に対抗しつつ、仏教系諸団体が積極的な救済活動に取り組んだ様子を、仏教雑誌『明教新誌』の明治20年代の記事を網羅的に抽出し、明らかにする端緒を得たことである。
|