研究課題/領域番号 |
20520581
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研究機関 | 広島経済大学 |
研究代表者 |
相良 英輔 広島経済大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70124071)
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研究分担者 |
濱田 敏彦 広島経済大学, 経済学部, 教授 (80330653)
諸岡 了介 島根大学, 教育学部, 准教授 (90466516)
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キーワード | たたら製鉄 / 砂鉄 / 鉄穴(かんな) / 銑(ずく) / けら / 鋼 / 山内(さんない) / 生産と流通 |
研究概要 |
本年度科研では、イギリス・アイアンブリッジへの出張を予定していたが、この海外出張は広島経済大学の学内研究費と一部私費を使い出張して目的を果たしたため、その費用として予定していたものを、プロジェクターの購入や東京出張などにあてた。プロジェクターは研究発表の時に有効に伝うことができたし、東京電機大学への出張では、多くの研究者と意見交換することができ、視野を広げることができた。 島根大学や島根県立図書館への出張では、多くのたたら関係資料の収集ができた。今年度は科研の最終年度であるため、大量の写真撮影史料の分析をもすすめた。いっぽう、収集した近世たたら史料の一部を翻刻するため、広島大学大学院生2人に依頼して田部家近世史料である「鉄方御用留」を120頁にわたり翻刻していただいた。 これらを分析し、具体的成果として論文「近世前期の田部家とたたら経営」をまとめることができた。『山陰におけるたたら製鉄史の比較研究』(平成23年10月発行予定)に所収される。その具体的内容は、いままで未公開であった17世紀前半の田部家一紙文書を多く分析して田部家の吉田町屋敷購入の実態を明らかにした。さらに明暦3年(1657)「検地帳」を利用して、田部家の居住する吉田町の「町屋敷名請人」を分析して、17世紀前吉田町の実態を可能な限り明らかにした。 さらに「近世後期半田部家のたたら製鉄業の展開」を論文にし、『田部家たたらの研究と文書目録』(平成23年度発行)に掲載予定である。この論文では、18世紀後半から幕末まで3度にわたって田部家は経済的危機に陥ったが、それを乗り越えて明治期にもたたら製鉄業を続け、大正12年に近代の鉄鋼石による製鉄業にとって代わられ、廃業したことを明らかにした。
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