研究課題/領域番号 |
20520582
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西別府 元日 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50136769)
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研究分担者 |
古瀬 清秀 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70136018)
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キーワード | 古代官道 / 御調八幡宮 / 官道丘陵部経路 / 地籍図(字切図) / 看度(者度)駅 / 須恵器窯 / 古墳群 / 御調川 |
研究概要 |
本年度の前半期は、前年度から繰り越した発掘調査の実施を実現することと、法務局における不動産登記情報等の電子化のため、閲覧が停止されていた三原市八幡町地区の地籍図の閲覧などを、並行的にすすめた。その過程で、前年度までにおこなった地籍図閲覧や、関係資料の収集の成果などをもとに、備後国に設置されていた駅家である「者度」駅について検討し、この駅家の名称は「看度」駅と考えるべきであり、その遺称地として尾道市御調町神ないしは神東が比定されるとする研究成果を、学会で報告した。 また発掘調査については秋までに実現して、実績報告書を作成して提出したが、調査対象地が丘陵部に確定したため、丘陵部における官道の特徴を実態的に調査することとした。その調査地は、学界でも古代官道跡とする説が有力視されている富山・石川両県にまたがる倶利伽羅峠とし、発掘調査の準備をすすめる一方で、現地の研究者と連絡・案内依頼などの交渉にあたり、11月下旬に踏査を実施した。さらに、古代山陽道は、近世西国街道の道路として継承されている可能性もたかいことに鑑み、西国街道を具体的に記した「中国行程記」の調査も実施した。 後半期には、発掘調査の追加として遺構周辺の測量調査を実施し、倶利伽羅峠踏査の成果などもあわせながら、発掘調査の整理とまとめをおこなうとともに、丸門田・丸河南地区の地籍図を精査して地割状況を確認し、八幡町地区とりわけ発掘調査対象地である大字垣内への経路を比定する作業をすすめた。また垣内以西の経路についても、再三現地踏査をおこなった。とくに12月以降は、以上のような研究を総合化して、発掘調査報告書の作成にあたり、備後国西部についての、古代山陽道の経路についての検証結果を集約する作業をおこない、その成果を、『トントン古道跡』として、3月に刊行した。
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