研究課題/領域番号 |
20520586
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
市村 高男 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (80294817)
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研究分担者 |
佐藤 亜聖 高知大学, (財)元興寺文化財研究所, 研究員 (40321947)
福島 金治 愛知学院大学, 文学部, 教授 (70319177)
桃崎 祐輔 福岡大学, 人文学部, 准教授 (60323218)
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キーワード | 御影石 / 石造物 / 分布調査 / 流通 / 海運 |
研究概要 |
最初の研究会を兵庫県内で実施し、これまでに確認された御影石製石造物の分布を確認し、御影石(六甲花崗岩)と他の花崗岩とを識別する基準を共有すべく、岩石学の研究者の指導を受け、それを踏まえて四国・中国・九州で分布調査を進め、高知県西部・東部や徳島県東部地域、九州北部の周防灘・玄界灘沿岸地域等で新たな資料を確認した。それらを加えた全体の分布状況は、これまでと同じ傾向を示しているが、空白地帯である広島県東部・岡山県西部では、尾道・三原周辺で産出する花崗岩製石造物が多数存在していること、そのことが御影石製石造物の搬入を制約する条件となっていた様子が見えてきた。 しかし、この地域の花崗岩には、御影石と酷似したものがあるため、改めて兵庫県内で研究会を開き、御影石製石造物の見学と合わせて、岩石学の研究者の指導のもと、帯磁率の計測による花崗岩の識別法を学習し、これまでの肉眼による色調や鉱物の入り方の観察、分布地の宗教的・人的な繋がりによる搬入理由の考察、石工の違いによる形態的な相違からの検討と合わせて石材識別の蓋然性を高める方法を鍛えつつ、分布調査を続行した。 1年間のまとめとして、西日本第二の石製石造物集中地域である島根県益田市で研究会を行い、全員で現物の検討を試みたが、御影石の帯磁率とは異なるものが含まれていること、山口県北部海岸方面に御影石酷似の地元産花崗岩の産出地があることが判明したため、益田市を中心とする花崗岩石造物を御影石製と見てよいかどうかが大きな問題となった。もし、これらが地元産の花崗岩であるとすれば、これまでの御影石の石材流通に大きな変更を迫ることになり、おのずとこれが次年度に検討すべき最大の課題として浮上した。
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