本研究の目的は、尚家文書(国宝)を用いて近世琉球の国家と社会の両側面を解明することにある。そのため、第一に、近世琉球の国家的特質が顕著に現れる対中国関係(特に冊封関係)を検討する。冊封儀礼関係は、尚家文書中では多数を占める。その中で旧来、未検討文書の分析を行う。第二に、琉球社会の特質については、僉議などの史料に表れた士族社会の相続、昇進の問題などについて検討し、近世琉球固有の身分制度(士族身分と百姓身分の二大区分制)を新たな視角から分析する。いずれもフルテキストデータを作成した上で分析を行う。第三に、近年新たに修復された尚家文書のマイクロ撮影・紙焼きによる史料の収集を行う。
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