研究概要 |
本年度は次の5点について研究をおこなった。第1に、昨年にひきつづき京丹後市域町村の自治会文書を調査し,丹後震災関係史料の簿冊目録を作成した。網野町、木津村、丹波村、浜詰村などの村役場文書について、重要と思われるものについては撮影を行い、件名目録を作成した。第2に、さらにそれらの中から翻刻すべき文書の絞り込み作業をおこない、実際に翻刻を開始した。第3に、昨年度調査した京都府行政文書の中の震災関係簿冊について、内容上の検討を行い、被災地町村の文書と照らし合わせながら、震災の全体像を描くのに必要な簿冊や史料の検討をおこなった。その上で、重要な簿冊については件名目録をとる作業に着手し、現状では半分程度完了している。第4に、翻刻済みの被災地と府県の文書群を照合し、文書を時系列的に配列することによって、この時期の府県の災害における対応のあり方の概要と特徴について研究を進めた。地震発生直後の1週間については被災地の史料はほとんどなく、その点の欠落をカバーできるのが府庁文書の史料群であることが、あらためて浮き彫りになった。第5に、北但馬震災・昭和三陸大震災・関東大震災について史料の残存状況について調査を行い、入手できた史料については詳しい検討に着手した。その結果、とれらの地震を歴史的にどう位置づけるかを考察するにあたって、災害時における軍隊の出動という観点を導入すべきではないか、という感触がえられた。
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