本年度は次の4点について研究をおこなった。第1に、京丹後市域町村の旧役場文書のうち、丹波村・木津村に焦点をしぼり、21年度に作成した件名目録にもとづいて重要な史料をピックアップしていった。第2に、それらの中から翻刻すべき文書の絞り込み作業をおこない、実際に翻刻を開始した。第3に、21・22年年度に調査した京都府行政文書の中の震災関係簿冊について、内容上の検討を行い、被災地町村の文書と照らし合わせながら、震災の全体像を描くのに必要な簿冊や史料の検討をおこなった。その上で、重要な簿冊については件名目録をとる作業に着手し、現状では8割方完了している。被災地の町村の文書は、地震発生後1週間はほとんど残存していないが、その間の状況は京都府行政文書によって詳細に再現できることがわかった。第4に、翻刻済みの被災地と府県の文書群を照合し、文書を時系列的に配列することによって、この時期の府県の災害における対応のあり方の概要と特徴について研究を進めた。第5に、北但馬震災・昭和三陸大震災について史料の残存状況について調査を行い、入手できた史料については詳しい検討に着手した。全体的な検討の結果、救護活動・復興活動にかかわった総人員とその中での軍隊の割合、青年団・消防団や在郷軍人会などの諸団体の、被災地での救援活動の実態、復興に関する被災地の要求や住宅再建のための負担などについて、客観的データを提示することが可能となった。
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