(1)本研究は、『日本霊異記』の地方関係説話にどれくらい在地性が反映されているか、各地域説話の共通点などから考証し、在地で創作された原説話がどのように伝承されたかを考察する目的のものである。 (2)そこで複数の説話が残る地域を抽出して、登場する地名や氏族の分析を行った。 (3)具体的には、備後・讃岐・九州・北陸・遠江・陸奥・美濃・尾張・大和・山城・伊賀などを舞台とする説話で、同類異話やジャンルやモチーフなどが共通する説話を比較した。 (4)さらにそれらの説話の残る地域の寺院跡などの古代的環境や、舞台となった地域の交通路などを現地調査し、原説話の伝承ルートの復元を試みた。
|