まずは「内海忠司関係文書」の撮影を済ませ、「内海忠司関係文書目録」を作成して、史料の散逸を防ぐとともに恒久的保存をはかった。次に、目録作成後すみやかに第一回全体会議を開き、研究目的・研究計画を確認するとともに、定期的な情報交換のシステムを構築したほか、「内海忠司関係文書」の中心部分である「内海忠司回想録」の編纂と、植民地官僚と退官後の国策会社勤務期間である1928年から1945年までの「内海忠司日記」の翻刻を進めた。当初の予定では翻刻と分析は同時におこなうことになっていたが、それでは植民地官僚の全体像がなかなかつかみづらいことが判明したため、当初の計画を変更して翻刻を最優先に進めることにした。翻刻を終了すると、「内海忠司回想録」と「内海忠司日記」はデジタル化され、きわめてスムーズに植民地官僚としてのキーワードを抽出する作業に移行することができた。キーワード抽出作業は、注づくりの基礎作業となり、これで今後の出版への展望も切り開くことができた。 この一連の作業は、植民地官僚の人的関係、植民地政策の形成過程を分析する手がかりとなるはずであるが、このほかに、内海忠司が地方長官をつとめていた台湾へも足を運び、台湾総督府の官界関係の史料収集にも着手しはじめ、当初の計画と順序は入れ替わったものもあるが、ほぼ順調に進行している。
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