(1)室町期における禁裏と室町殿の統合システムを解明し、公家と武家共同の官僚機構論を構築する。 本研究においては、蔵人で弁官をつとめて権中納言になった甘露寺親長の古記録・古文書を中核にして、後土御門天皇・後花園院の禁裏と室町殿義政と将軍家義尚の幕府とが、どのように合議をして共同意志を決定し、それを伝奏・蔵人弁官・官務・局務という公家官僚機構と管領・政所・奉行人という武家官僚機構とがどのように共同執政を具体的におこなっていたかを解明する。 (2)室町戦国期の禁裏関係史料の未刊行史料の発掘とそこにおける公家・武家による共同執行事務の実態を解明する。歴博であらたに入手した船橋清原家史料の調査をすすめ、大宮時元の新出史料を紹介する。 (3)公家と武家による共同の経済基盤と財政的共同執行の実態を解明する。公事執行における武家からの下行システムを具体化し、公方御倉と御料所と守護出銭の相互関係を解明する
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