本年度は、前年度の調査において取得した1920年代前半のデータ入力に努めた。データ量に鑑み、サンプルの20~25%を抽出して入力する方法で実施した。データ内容は年によって異同があるため、入力項目については共通する項目に重点を置いた。入力終了後、データクリニックを実施し、簡易分析によって平均結婚年齢などの基礎的な数値を導きだした。 これらの分析結果も踏まえて、これから調査し、取得する予定の1920年代後半、および1931~33年のデータ分析にかんする基本方針を確認した。 海外調査については、当初予定よりも多少の遅れがあったが、前年度と同じく、シリアとトルコの2ヵ国について実施した。シリアでは、ダマスカス歴史文書館と国立アサド図書館、フランス近東研究所において、当該時代の結婚関係資料・研究の調査・収集に努めた。今画の調査の過程で、ダマスカスの結婚に関係する台帳2冊を新たに発見し、そのうちの1冊のデータをサンプル調査した。調査の結果、この2冊の台帳はオスマン期とフランス委任統治期をつなぐ結婚登録システムを考察する上で非常に貴重なデータを含むことが判明した。その他に、当該研究に関連する書籍の購入を実施した。トルコでは、首相府オスマン文書館、イスラーム研究財団図書館において、オスマン時代末期の法制度関連の資料・文献を調査・複写したほか、当該資料に関連する書籍を購入した。調査日程はかなりタイトであったが、期間内に予定していた調査をすべて終了することができた。
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