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本研究課題は、19世紀末から20世紀初頭の朝鮮で作成された新しい様式の戸籍=新式戸籍の史料的性格を検討し、この時期の朝鮮国家の戸口把握・支配の特質と、戸籍にあらわれる朝鮮社会の様相を歴史的に明らかにすることを目的としている。本研究は、朝鮮新式戸籍の調査・収集と戸籍データの分析、および戸籍に関連する史料の検討が具体的内容となる。研究第3年度である本年度の成果・内容は次のとおりである。
史料の調査・収集作業としては、国内では京都大学・天理大学・一橋大学・学習院大学・東京大学において戸籍関連資料の調査及び複写をおこなった。韓国では、ソウル大学校奎章閣と国立中央図書館において昨年に引き続き戸籍及び関連史料の調査・複写をおこなった。
史料の分析・研究成果の公表としては、収集した各地域の新式戸籍関連資料の整理・検討を進め、とくに新式の通例の戸籍、各地域戸籍の統計票的性格をもつ統表、寺庵・僧侶を記載した僧籍、屠漢を収録した屠漢籍の相互関係について分析を進め、その成果として「朝鮮新式戸籍関連資料の基礎的研究(1)」を発表した。同一年度の戸籍・統表・僧籍が残る忠清南道泰安郡地域を選び、相互の関係と記載の特徴について分析し、この3種の史料が一体のものとして作成されていたことなどを明らかにした。
僧籍を含め戸籍関連各資料の相互関係を具体的に明らかにしたはじめての研究であり、新式戸籍の性格を究明する上で重要な意味をもつものであるといえる。
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