研究課題/領域番号 |
20520613
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山内 民博 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40263991)
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キーワード | 朝鮮史 / 韓国史 / 戸籍 / 身分 / 東洋史 / 史料学 |
研究概要 |
本研究課題は、19世紀末から20世紀初頭の朝鮮で作成された新しい様式の戸籍=新式戸籍の史料的性格を検討し、この時期の朝鮮国家の戸口把握・支配の特質と、戸籍にあらわれる朝鮮社会の様相を歴史的に明らかにすることを目的としている。本研究は、朝鮮新式戸籍の調査・収集と戸籍データの分析、および戸籍に関連する史料の検討が具体的内容となる。研究第4年度である本年度の成果・内容は次のとおりである。 史料の調査・収集作業としては、国内では一橋大学・学習院大学において戸籍関連資料の調査及び複写をおこなった。韓国では、ソウル大学校奎章閣と国史編纂委員会において昨年に引き続き戸籍及び関連史料の調査・複写をおこなった。 史料の分析・研究成果の公表としては、まず、これまで研究の対象となっていなかった北部咸鏡道地域の新式戸籍を対象に史料の整理・分析をおこない。その成果として「朝鮮新式戸籍関連資料の基礎的検討(2)-建陽元年成鏡南道端川郡新満面戸籍-」を発表した。新式戸籍初年度にあたる建陽元年(1896年)の咸鏡南道端川郡の戸籍を、面里の具体相を含め分析したものである。その特徴として挙げられるのは、1戸あたりの口数が他地域に比べ顕著に多い点であり、それは傍系親族と寄口(非親族同居者)が多数登載されることによっていた。また、戸内の人口は必ずしも一つの家屋に居住していたわけではないことも推測された。これらの点は新式戸籍の戸に対する把握方法が地域によって異なっていたことを意味し、新式戸籍の性格を考える上で重要な意味をもつ。つぎに、本研究でこれまでおこなってきた新式時期の僧籍・屠漢籍の分析を整理し、長期的な視点から新式戸籍の性格を考察した報告を韓国の仁荷大学校韓国学研究所主催の国際学術会議で発表した。同研究所でも韓国新式戸籍の研究を進めており、今後の研究協力などについても協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料の調査・収集は当初の予定どおり進んでおり、またその分析・研究成果の発表も研究課題・計画を着実に実施したものである。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度となる24年度は、引きつづき新式戸籍、および関連史料の調査・収集を、日本国内と韓国において実施する。 成果の発表としては、新たな地域の分析を加味しつつ、これまでの研究を総合して、新式戸籍の性格について長期的な視野から再検討した論文を執筆する。
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