本研究課題は、19 世紀末から20世紀初頭の朝鮮で作成された新しい様式の戸籍=新式戸籍の史料的性格を検討し、この時期の朝鮮国家の戸口把握・支配の特質と、戸籍にあらわれる朝鮮社会の様相を歴史的に明らかにすることを目的としている。 具体的には、第一に、基礎的研究が不十分であった朝鮮新式戸籍につき、旧式戸籍と比較してどのような特質をもつのか、僧籍・屠漢籍など特定集団の戸籍や地域による差異にも注意しながら明らかにする。 第二に、上記新式戸籍の性格に関する検討にもとづき、甲午改革によって身分制が法的に解体されたという理解を再検討し、19世紀末段階で国家が人々をどのように編成していたのか考察する。 第三には、新式戸籍の記載内容を分析し、当時の戸口、面・里の様相の復元を試みることである。
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