• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

近代中国における民俗・象徴・儀礼と秩序の構成

研究課題

研究課題/領域番号 20520616
研究機関広島大学

研究代表者

丸田 孝志  広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (70299288)

研究分担者 曽田 三郎  広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40106779)
キーワード民俗 / 象徴 / 儀礼 / 秩序 / 国民統合 / 中国共産党
研究概要

抗日戦争以来、諸勢力の争奪の対象となった極めて不安定な根拠地である冀魯豫区(晋冀魯豫辺区の東南部分)を対象に、転変する政治・軍事情勢と社会の流動性に対応した政治等級区分と大衆動員の特徴を考察した。内戦勝利に至るまでの政治情況の変化に伴い、中国共産党(中共)の政策方針は転変を繰り返し、中共が打倒を目指す敵や同盟者の範囲もこれに伴い伸縮した。政治的態度を基礎とした中共の政治等級区分には、身分固定はなくとも権威の序列を厳格に可視化する伝統社会の秩序概念が継承されており、農民に浸透した伝統的権威を利用した動員が行われた。中共の大衆路線は、下層大衆を積極分子・党員・幹部として登用する指向を一貫して維持しており、運動の度に社会に流動性を与えていた。負の等級区分では、恣意的なレッテル貼りが横行し、没落の可変性は常時人々に示されていた。政治等級区分には、恣意性と不安定さが付きまとう一方で、左傾政策の時期から政策転換期まで、厳格な区分の中に一定の流動性を許容することで、人々に忠誠を迫る特徴が維持されていた。本来的に弱い村落の保護機能が、内戦の混乱で更に低減するに伴い、任意の組織に保護を求める民衆の行動は過激なものとなった。郷約の形態を踏襲する不安定な規範の確認が盟誓の形で行われ、大参党運動の盛り上がりや会党組織の勃興を支えていた。一方で中共は十数年来の闘争を経て、社会を動員する党組織を区から村へと浸透させつつあり、自治能力の弱い村落を代替して民衆を動員し、社会を変革する力を持つに至っていた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 国共内戦期翼魯豫区の大衆動員における政治等級区分と民俗2010

    • 著者名/発表者名
      丸田孝志
    • 雑誌名

      アジア社会文化研究 11号(掲載決定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 太行・太岳根拠地的追悼儀式与民俗利用2009

    • 著者名/発表者名
      丸田孝志
    • 雑誌名

      中日学者抗戦文史研究論文集

      ページ: 328-344

  • [学会発表] 糞魯豫区の政治動員と民俗・象徴2009

    • 著者名/発表者名
      丸田孝志
    • 学会等名
      第三回「現代 "中国" の社会変容と東アジアの新環境」国際シンポジウム
    • 発表場所
      茨木市
    • 年月日
      2009-08-25

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi