本研究は、近代中国の政治権力による民俗・信仰の利用・改造、近代的政治象徴・儀礼の導入過程の検討を通じて、文化・民俗の再編が、政治動員、階級意識・国民意識の創出、社会秩序の構築において果たした機能について考察するものである。多様な中国社会を統合する政治の原理を考察するため、地域権力と農村社会の関係を主要な検討対象とし、中国共産党(中共)根拠地と日本偲偏政権などとの比較を行う。また、その際、私的ネットワークの拡大と社会を代替する国家権力の発展という中国独自の権力と社会の関係に着日し、中華人民共和国成立に至るまでの時期の統合の問題を検討する。 この他、国家統合の問題を長期的な視点から確認するために、清末から民国初期までの中央と地方の編成に関わる憲政の問題を検討課題に加える。
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