本研究は、清朝という一つの帝国の崩壊から中華人民共和国というもう一つの帝国(多民族国家)の枠組みの形成までの間に、民族集団がいかに融合集散したかを辛亥革命以後の八旗集団の人々の足跡を追うことによって明らかにしようとするものである。そのために、二年目にあたる21年度は海外調査を中心に行った。まず後6月には中国の内モンゴル自治区において旧綏遠城の旗人の子孫に対する実態調査を実施し、8月には内モンゴル東部地域でも旗人の子孫に対する意識調査を行った。12月と2月には山西省右玉県で旧右衛城の子孫に対する調査を行った。そして3月には北京で蒙古旗人の子孫に対する意識調査及び史料調査を行った。2月下旬には吉林城や延辺朝鮮族自治州においても現地調査を実施した。 こうした現地における史料調査や一連の意識調査の結果、内モンゴル地域、山西省や北京そして中国東北地域に暮らす八旗の子孫の今日的民族生活の有り様をある程度把握することができた。
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