本年度の研究は、研究の基礎資料となる文献及び石刻史料の収集と整理を行い、次年度以後の個別事例研究の基盤を構築することであった。以下計画の実施状況を総括する。 a)唐代後半期の地方社会に関する先行研究の整理:予定項目のうち、藩鎮・経済について整理を完了。藩鎮の文書行政に関し中村裕一氏の著書をとりあげ書評を発表した。 b)南北朝階唐祭祀儀礼研究文献目録の作成:1980〜2000年までに中文で発表された文献の目録を作成し、専門誌に発表した。既発表の邦文篇とあわせて、近年の研究文献と動向をほぼ把握することができた。2001年〜2008年分は、次号に掲載を予定している。 c)「唐代祭祀儀礼関連石刻資料目録」(最終年度完成予定)作成のための資料収集と整理:b)f)と同時進行で作業を行った。f)の西安長安博物館調査では、保管墓誌の悉皆調査を行って多数の未公開石刻を確認し、目録を明大東アジア石刻文物研究所のHPで公開した。 d)藩鎮節度使間の交際に関する史料収集:700年代後半期の河北地域を完了した。 e)唐代祭祀儀礼文物要覧作成のための資料収集と整理:別途研究会にて閲読を進めてきた『大唐元陵儀注』の釈読と成果発表が終了し、儀注に登場する文物の整理を始めた。また都城礼制遺跡に関する発掘情報を報告した中国社会科学院の郭暁涛氏の論文を翻訳し発表した。 f)現地調査と資料収集:2008年9月4日〜12日に、中国陜西省(西安市・咸陽市・渭南市)で史跡・博物館を調査し、多数の碑刻の所在や移動、新出土文物を確認することができた。
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