本年度は、昨年度から進めてきた文献及び石刻史料の収集と整理を行いながら、整理が完了した資料をもとに順次個別事例研究を進め、研究発表を行った。 (1)唐代後半期の地方社会に関する先行研究の整理:予定項目のうち、財政・農業について整理を終了。またこれに関連して、唐令に関する中国社会科学院の黄正建氏の研究報告の翻訳と、『唐研究』14所載論文3本の書評を行った。 (2)南北朝隋唐祭祀儀礼研究文献目録の完成:本年度は中文篇(2001~2009年)分を発表した。中文及び邦文篇の追加情報(中文篇09年、日文篇08~09年)については、次年度に発表を予定している。 (3)「唐代祭祀儀礼関連石刻資料目録」作成(最終年度完成予定)のための資料収集と整理:『石刻題跋索引』等所載の伝世石刻に関しては整理を完了した。新出土等の石刻については、調査分とあわせ次年度に整理する。 (4)藩鎮節度使間の交際に関する史料収集と集約:前年度に続き、今年度は800年代の河北及び河南について、とくに河朔三鎮とそれ以外の藩鎮との交際に関する史料収集を終えた。 (5)「唐代祭祀儀礼文物要覧」作成(最終年度完成予定)のための資料収集と整理:現在儀注研究会で集約が進められている注釈とあわせて「大唐元陵儀注」所載の礼物について史料整理を行った。来年度に図版部分を補完する。 (6)現地調査と資料収集:2009年9月1日~12日に、中国陝西省(西安市・咸陽市・渭南市)及び山西省(運城市)で史跡・博物館を調査した。また西安の碑林博物館事務所・西市博物館文物倉庫・陝西省考古研究所などを訪問し、最近の発掘及び研究に関する情報収集を行った。また同9月末の台湾学会のあと台湾国家図書館で資料調査を行った。 (7)個別事例研究:本年度は9月に台湾の学会で廟制に関する研究報告、また3月に国内の学会で唐代の礼楽思想に関する研究報告を行った。それぞれ論文としてまとめ、次年度に公刊する予定である。
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