200年4月6日〜4月10日、中国の武漢大学簡帛研究センター(主任、陳偉教授)で行われた「出土数術文献国際学術研討会」に出席し、放馬灘秦簡「日書」の再検討の共同作業に従事した。甲・乙両種発見されている当該竹簡は、「日書」のほとんどが楚文化圏から出土しているのに対して秦本土で発見された「日書」として注目されており、その甲種の写真と釈文、および乙種の一部の釈文が公表されている。このたびその全テクストが中国の中華書局から刊行されるのに伴い、その準備作業として研討会が招集されたのである。出席者は中国の李零・陳松長・劉楽賢等の各氏の他に、韓国の尹在碩氏、台湾の劉増貴氏、アメリカの夏徳安氏(ドナルド・ハーパー)、フランスの馬克(カリノフスキー)氏等。 また本年度は睡虎地秦簡や張家山漢簡「二年律令」等の秦漢律の田律(土地制度や農業関連法規)と習俗の関係について分析した。張家山漢簡の田律に「日書」に酷似する断片記事がみえ、田律と土功(土木工事)の忌日の間に密接な関係のあったことを窺わせる。そこで「日書」から土功関係の記事を集成し、それらの占法原理を解明し、それが田律にどのような影響を与える可能性があるのかを検討した。その成果の一部は、メトロポリタン史学会(首都圏大学東京、2009年4月18日)で「中国古代の「日書」にみえる時間と占卜」と題して発表し、また夏期に中国社会科学院歴史研究所で発表する予定である。
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