今年度は研究の総括を行い、かつ一般社会へその成果を発信するため、『占いと中国古代の社会-発掘された古文献が語る-』(単著、東方書店、2011年12月)を刊行した。本書は「日書」を主たる資料として、占いを通じて国家と社会がどのように向かい合っているかを論述したものである。一般書であるが、これで「日書」が中国古代社会でどのような意味をもっていたか、その史料的性格を総括できたと思う。 論文「日本秦簡研究現状」(編、武漢大学簡帛研究中心主辮『簡帛』第6輯、上海古籍出版社、2011年11月)は日本において秦簡研究がどのような現状にあるか、序、律令の編纂・継承、司法・刑法、官制、地方行政制度と文書行政、家族制度、算賦・徭役・兵役、田制・農業、牧畜・禁苑、商工業・貨幣、爵制・身分制度、対外関係、地理、学術・思想、日書に分類して総括した。「中国文明と地域文化-日本における秦簡研究の現状-」(『ワセダアジアレビュー』no.9、早稲田大学アジア研究機構、2011年2月)はその内容を簡略に紹介したもの。 書評「秦簡のまた一つの大きな発見『嶽麓書院蔵秦簡』(壹)」(『東方』366、2011年8月)は最新の秦簡の嶽麓書院蔵秦簡について紹介したもの。 「長江流域文化研究所と簡帛研究」(中国社会科学院簡帛研究中心講演、北京、2011年10月13日)、「「日書」と日者」(首都師範大学講演、北京、2011年10月14日、「尹湾簡〓《元延二年日記》与占」(中国社会科学院歴史研究所・北京師範大学・香港理工大学聯合"第二届中国古文献与伝統文化"「国際学術検討会、於北京師範大学、2011年10月15日)は、日書」と日者の関係、「日書」の史料的性格を中心に講演・発表したもの。
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