連合国教育相会議に至る過程や当時のロンドンの亡命政府を巡る状況などを検討する上で必要な歴史的理解を与えてくれる二次資料や、国際連盟関係のマイクロフィルムなどの一次資料の通読並びに分析を引き続き行うと共に、当該プロジェクトに関係する資料のうち、日本に存在しないものを特定し収集を続けた。昨年秋の調査以降、英国国立公文書館のデータベースが大幅に拡充され、これまで検索できなかった大英図書館所蔵の資料なども検索できるようになったため、改めて現地調査を行い、これまで存在を知ることが困難であった本プロジェクト関係資料を入手することができた。それらと前回収集した、イギリス側の資料と合わせて、フランスで収集した資料を付き合わせる作業を続けている。特に両国がどのようなヴィジョンから当該会議に参加し、どのように戦後に向けて思惑通りにことを運ぼうとしたのかに主眼をおいて検討した。ただ、過去のリサーチを通じて収集できた資料が、英米仏併せて一万頁を超えるなど膨大であるため、その整理・分析に時間を要している。現在のところ、戦後国際秩序形成の過程において、英米が政治領域で主導権を握っていく中で、戦前保っていた国際政治における影響力の減退を食い止めるため、何とか主導できる分野を持ちたいと考えるフランスが、教育相会議を利用して、知的協力分野で主導権を握ろうとし、英米もそれを黙認したという流れであるとの暫定的見解を得た。
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