研究概要 |
本研究は、1967年の法改革以降、男性同性愛者に対するイギリス社会の態度がどの程度変化したのか、あるいは変化しなかっのか、またその変化のあり方に見られる諸特徴は何であるのかを明らかにすることが目的である。 初年度である平成20年度においては、まず、(1)同時代時評および専門論文の収集・整理・分析として、Parliatamentary Affairs,. Lancet, British Medical Journa1,などに掲載された関連諸論文の収集と全体的な分析をおこない、研究動向の論点整理に取り組んだ。さらに並行して、(2)政府関連一次文献の収集・整理・分析として、政府政策と法改革の動向について1970年代〜90年代までの全期間にわたって史料を収集し、動向の詳細を理解するようにつとめた。具体的には、各種の政府報告書や委員会調査報告書のほか、上院および下院議事録などの史料を収集分析し、法制および施策上どのような取り組みがなされたのかをおおむね把握した。 以上の作業は、時代の変遷の大枠を把握する基礎作業として重要である。時代による変化の度合い、政権党の交替による差異などに注意を払い一ながら、検討を進めていった。その結果、政府レベルでは、70年代末〜80年代前半、また90年代後半〜2000年代前半において、態度変化が確認された。また、おおむね保守党政権に比べて労働党政権のほうが同性愛行為について寛容な態度を示してきていることも確認できた
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