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2008 年度 実績報告書

ローマ帝政後期の国家と教会

研究課題

研究課題/領域番号 20520635
研究機関千葉大学

研究代表者

保坂 高殿  千葉大学, 文学部, 教授 (30251193)

キーワード西洋古代史 / キリスト教迫害 / 国家と教会 / 十字信仰 / エウセビオス / コンスタンティヌスの生涯
研究概要

従来の研究は大迫害までの帝国と教会の関係を宗教戦争と理解したことと正確に対応して4世紀の政策転換の原因をも宗教的動機から、諸皇帝の改宗、あるいは帝政中後期に移行するに従って進捗した異教宗教哲学の一神教化傾向から説明するが、教会側の視点からは確かに宗教戦争に見える帝国教会関係も帝国側から見れば全く様相に異にして現れるため、今後の研究ではいわば天動説的に説明されてきた社会的諸現象を地動説の諸概念をもって翻訳する作業が中心とならねばならないと考えつつ、今年度はまず第1に、大帝(およびその周辺、後継皇帝)のキリスト教受容の様相(その程度と限界)、および異教的性格の如何、したがって宗教的視点からの考察には限界があるか否かという、ネガティブな検証作業を行い、この点の論証に必要な文献資料の収集と分析に集中した。1)改宗説が依拠する最も強力な論拠であるエウセビオスのVita Constantini「コンスタンティヌスの生涯」であり、この文書が報告している各歴史的事件、特に大帝が発令したとされる反異教的措置の数々が他の史料では4世紀後半にしか証言されていないことに着目して、「生涯」の偽書性を論証した。その研究成果は今年6月の西洋古典学会で発表する予定である。2)改宗が歴史的事実であったとしてもその内実を検討する必要があり、その点の手掛かりを与える資料として墓碑銘ILVC1620、およびウオセビオス「教会史」9.9.10f.他を分析し、コンスタンティヌスの宗教意識の特徴が排他性のないキリスト教民間信仰に属する十字信仰であったことを確認した。研究成果は十字信仰の成立過程を概観した論文(下記「研究発表」「雑誌論文」1)および312年対マクセンティウス戦勝後首都中央広場に建立された帝の銅像基礎部に記された碑銘は貨幣資料を分析した論文(本年度「西洋史研究」掲載予定)で公表した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 古代キリスト教における十字形磔刑図像の成立2009

    • 著者名/発表者名
      保坂高殿
    • 雑誌名

      聖書学論集 41

      ページ: 551-564

    • 査読あり

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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